「学習論 3部」・・ブログ活用編

「教育は静かな市民革命である」

・・この言葉は数年前に大先輩の方から聞いたものだが、今、成熟市民社会の成立を願う時改めて深いものだと思う。現在、民主主義社会に至らない多くの国は、大衆の教育不在の社会であり、民主主義社会に至った国でもこの教育不在が怪しい指導者の専横を許しているのである。多くの民衆・大衆が、適正な教育を得て主体的な学習を行えることこそ民主主義の成熟が可能となる。教育はその鍵を握っているのである。多くの教育機会がある中で学校教育は中核となるものであるのだからそのことを深く考えなければならない。

・・「習得」から「探究」・「活用」への道を、文科省が示したことは適切である。これまでの社会は、身分制度による教育機会の制限により、庶民は学習の機会を奪われ学ぶことができずにいた。その後、上層階級だけの知的独占では、複雑な社会の維持が困難となり、また他国との競合に勝つためにも、大衆教育への道が開かれた。しかし、大衆が自ら考える力を持つことを好まなかった上層階級は、彼ら大衆には必要なことを「習得」するだけの力をすすめるだけであった。

・・しかし、21世紀のこの多様で複雑な社会に対応できる人材育成となると、習得能力だけでは不足であり、事項の探究や活用能力が必要となる。大衆・庶民が主役となるのが民主主義であるが、いよいよ本当の市民としての成熟さが可能となる時となったのである。

・・「習得」だけでは、誰かが与えた知を学ぶだけであるが、「探究」はその奥を探りルールや仕組みを発見し、「活用」はそのルールを使ってものごとを主体的に解明することとなるのである。そういう時代となってきたのだ。さまざまな場面で教育という仕事を行う人は、この変化に気づき改革・改善を行わなければならない。

・・今、T(ティーチ)、E(デユケート)、F(ファシリテート)、P(プロジェクトプラン)、C(コーディネイト)の5つの役割が、教育指導者の彼らに求められるのはこうした理由からである。「探究」・「活用」力の育成では、「開かれた学び」が求められることから、F・P・Cの役割への転換が特に必要である。・・「学習」を「教室」から「学校」へ、「学校」から「地域」へ、「地域」から「地方」へ、「地方」から「全国」へと広げ、横にも縦にも成長の芽を伸ばしていくことに貢献できるような教育環境の早急な整備が求めれます。・・具体的には、小学校の児童生徒でも、関心のあるテーマについては中学校との連携、さらに高校や大学との連携ができるような体制つくり、さらに地域や地方での人材活用できるシステムの整備も求められます。

「学習論」では、このことについてもいつか触れていきたい。・・(すでに第2部では触れていますが・・)

・・なお、もし質問があれば次のメールに来てください、お答えします・・氏名など不要です・・「生徒か学生か大人か」は解ると対応しやすいのでありがたいです・・ toshibo170@gmail.com   です

第3編・・このブログ:「探究・統合・活用」の発展としての「FW」の検討

 

◎「中・高生でもOK 版」

~ 中高生も理解できるように工夫してみます ~

・・「FW」による思考力の進展 ~その例示のいろいろ~

「FW」があると、それを活用しての分析力とさらには統合力が高まるので、ものごとの対応が、大きく、深く、素早く、正確になります。・・例えば、『「3秒で選び2秒で決める」思考術』(コクヨ 中経出版)のようなことが可能となります。ここでは「型」があるとこれが可能になるというのですが、この「型」がいわゆる「FW」です。こうした「FW」を3秒で数種思い浮かべると、2秒でそこから選択して対案が出せるというものです。

本日からのブログでは、そのような「FW」の具体例を提示します。現在、「思考力」が求められていますが、この基本は、探究力で、それは分析(部分に分ける)・分類(関係でつなぐ)から始まります。その時に効果を発揮するのが「知のFW(仕組み・法則・ルールの集合体)」です。これからのブログはどれからでも適当に選んで読んでください。

第3編・・このブログ:「探究・統合・活用」の発展

・・「FW」による思考力の進展 ~その例示のいろいろ~

 

今日のブログ1・・そうした思考がどこまであるか、やや遊び心で「演習問題」をしてみましょう

 

◎「分類」・・問題に挑戦してみよう(これまでの第2部と同じ問題です)

 

1:次の分類問題に答えよう。

①「花の分類」・・次の分類はどれが一番むつかしいか・・

a:季節による花の分類 b:花の色分け c:価格による分類

d:贈答花の選定

「ヒント」・・現象(見た目)での分類か本質(性質など)での分類か ・・

②「魚のネーミング」で次のうち一番容易なのは・・

a:鱈  b:鰯 c:鯖 d:鮭

「ヒント」・・これも、現象は?本質は?・・での分類

*「解説・解答」 ・・高校生には易しすぎるか・・

①「花の分類」答え・・難しいのは・・dまたはc(d=分析が2つとなる・・花の性質分析・相手の気持ち分析、c=「市場状況」の分析・売り手と買い手の関係を考えるので)・・易しいのはb(目に見える色分けだから)

②「魚のネーミング」・・c(色での命名・・「現象」) bはむつかしい(他の魚と比較して弱いという性質・またはこの魚の腐敗しやす弱い性質・・「やや本質」に近い)

*「活用頭」の最初は、「探究」すること=それはそのことを掘り下げて「分析」すること・・です。この探究で、そのことの「基本・本質」が分かれば、そのことを成り立たせている「ルール・法則」がつかめるので、そのルールを使えば「活用」ができることとなるのです。分析して基本を知って分類すると間違わない。そうでないと、単純な類似で分類してしまう。(例:サメとイルカは同 じとなる)・・・学習が進むと・・ 「現象系(見た目など)の分析から本質系(しくみ)の分析へ」が可能となる。

・・「現象と本質」・・この2つの違いを見分けることができるようになると、脳が成長して来ているのです・・ 

2:次の問題は、毎日気にしている天気(その奥にある気候)の問題です

(1)次の地図上の地点の気候や天気はどのような特徴を持つでしょうか、気候のルールを想定して答えてみましょう。(記憶が不要と言うことの証明問題です)

 

スライド6

「ヒント」・・天気・気候は、温度と雨量で決まる。それは、地球上の位置と海流の状態(水蒸気が出やすいかどうか・・雨の源泉は海の水だ)、それに風向き(これはいつも吹く風と季節で吹く風とがある)、さらには地形(高山があると風の吹き方が違う)・・そして根本は・・そもそも海流を動かすのは、風を起こすのはどういうエネルギーかを考えてみること・・それは太陽の熱と地球の自転

「解答」・・実は、ここは大陸の東岸で日本に近いところ(正確には中国の海岸天津付近)・・温暖で雨量多く、夏には海からの風が雨を降らす、天気は基本的に西から変わる(偏西風の吹く位置なので)が冬には陸地から冷たい風が吹く

・・これは地理や地学の学習となりやや難しいので後の話題で詳しく説明します・・

 (2)次の関連問題・・これは易しい・・でも思考の訓練にはなります

この家の問題点はどこでしょう・・(ただし、ここでは太陽と風だけの問題とします・・家族構成、道路とか近隣の施設は考えないこととします)

・・その解決法は・・

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「ヒント」・・太陽の熱との関係(東西南北)で考えると・・太陽が暖めるところは暖かい・・人の居心地はよい、でも虫が湧く、腐敗しやすい。

・・科学的な思考と文化的な思考(必ずしも合理ではないことも)とで考えてみる・・

「解答」・・トイレは温度の上がらない北向きがよい、虫が発生しにくい・・でも寒い・・しかし永くはいないのでOKか。台所も食材の腐りにくい北向きがよかったがそこは寒い。昔は寒いところで炊事(時間は永い)をして、暖かいところに運んで食事をしたようだ・・でも、冷蔵庫の普及が台所の位置を変えた。暖かく日差しのよい南向きが仕事も団らんにもよい。居間や寝室が寒い所にあるのも問題。玄関の南向きはもったいないし、東向きがよいとも・・太陽を迎えるから?・・北向きは北風が入り気温が下がる・・西向きは日没で機運が悪い?・・偏西風帯なので風が入りやすい・・いい風ならよいが悪い風ならよくないので避けるか・・。客間はもったいないか・・それほど客は来ないし、よい客ばかりではない?。

この太陽や風の問題は、昔は「風水の説」が取り扱ったものです。この科学的思考にその後、文化的?な解釈などを付けて、それが迷妄なものも混じって問題となりましたが、「風水」の基本は科学と正当文化だったときもあります。

 3:それでは、さらに、もう1つ次の問題に挑戦してみよう。

「ネコに小判」という言葉がありますが、それはどういう意味だろう。もし「ネコに鰯」ならネコはどうするか・・当然、前者はネコは食べられないし、使えない、後者の鰯なら食べられる。・・

①それでは「小判と鰯」とどう違うのか考えてみよう。

「ヒント」・・次の語句を使ってみよう・・「抽象」・「具象」、「直接」・「間接」

②それではネコの能力がどこまで高まればいいのだろう・・人間では何歳頃の能力までになるのか。

「ヒント」・・小判の本質「仕組み」(小判が何匹かの鰯に変わること)はネコには解らない。人間でも、これが分かるのはいつ頃だろう?

③さらに発展・・同じような諺に「豚に真珠」がありますが、やや意味合いが違います。その違いを説明すると・・

「ヒント」・・ネコの何を問題としたのか、豚の何を問題としたのか

 

☆ブログ用「第2部-3学習 シート」

 

○「解説・解答」

これも、現象と本質に関わる問題です。小判は、抽象物で間接的なものです。直接には食べられませんが、鰯と交換できます。それが分からないから「ネコ」なのです。人間は、「抽象」と「間接」が理解できるようになるのは10歳頃かな。でも、貨幣の発達史を見ると、物々交換からはじまり、小判の登場までには時間がかかっている。その後の「不換紙幣」までにはさらに道のりがあります。背後に「金銀」の保証付きの「兌換紙幣」を経てからですから・・「活用頭」もそう簡単にできたわけではないのですね。先人の永い思考と試行錯誤の後で「仕組み」ができあがってきたのです。これを学ぶことで私達は理解が早まります。ただし、この時に肝心なのが、この道のりを理解せずにその結果だけを知っているだけのことが多いのです。それでは、「小判の使い方を知っただけのネコ」になります。

小判の仕組みの理解が必要なのです。この道のり(ルール)が分かれば、貨幣というものの本質が解ります。「ビットコイン」の本質も分かりますね。

(・・私は、パソコンの仕組みを理解しないまま使い方を知っているだけですので、パソコンが通常の動きでなくなったちょっとの変化にも対応できません・・仕組みから理解することが求められているのですが・・この歳だからとごまかしていますが・・「パソコンについてはネコ状態」です。)

さて、最後の2つめの諺ですが、「豚に真珠」はその見た目での「現象」だけを述べたものですね。「ネコに小判」はやや本質的なことの諺ですから、こちらの方が意味深いですね。・・ついでに、「豚に真珠」には身分差別的な意味があるとのやや深い説もありますが・・

*それでは、次回から、さまざまな「FW」の例を紹介しながら、「探究」と「活用」について考えてみましよう。・・(私のものはどうしても文科系のものとなってしましますので、読者の方はこれを参考にして自分の得意な分野で自分なりの「FW」を作ってみてください。なお、第1部の「知のFW 研修」にはかなりなものを入れております・・でも小難しいです・・)

*それでは、次回から、さまざまな「FW」の例を紹介しながら、「探究」と「活用」について考えてみましよう。・・(私のものはどうしても文科系のものとなってしましますので、読者の方はこれを参考にして自分の得意な分野で自分なりの「FW」を作ってみてください。なお、第1部の「知のFW 研修」にはかなりなものを入れております)

 

☆今日のブログ2:「FW」による思考力の推進 

(1):「知力の仕組みとその変化」のFW

・・「学びの仕組みが分からないと、自分の学習状態が分からない。そして、学習は停滞し混迷する」・・

「ねらい」

*人間が持つ知力の種類とその変化について知ると学び方が分かってくる・・自分たちの学習状態が今どの段階かを知ることは大切なことだ・・

*そうするとこれまで述べたAさんのような学習停滞が起こらなくなる・・中高生は、次第に「知識記憶」中心から「理解>知識記憶」に移る頃だ・・

*こうして主体的な思考ができる人が増えることで「成熟市民社会」が実現する・・やはり、世の中がうまく行くには「賢い学習者」が増えることだ・・

「知力変化の図式」

スライド1

 

「説明」・・知力は、これまでにも述べたように、「習得・探究・統合・活用」となります。

幼い頃は、とにかく「習得」です。身の回りのことからの体験や親たちからの指導による学び、先輩達のマネからの学びです。幼い状態のグループも、より発展した隣のグループからの習得から始まります。わが国は、古代には中国・朝鮮からの習得、ヨーロッパ人が来始めると彼らの先進技能やキリスト教などの習得、明治以降は西洋やアメリカからの習得が続きました。中進国・先進国に学びながらも幾分か自分流にそれを転換しながら賢くなってきました。

「探究」は、習得事項が一定度に達したら、それらを整理するために自然に起きてきます。でも、この整理の方法を意識的に行うことができれば効果的なものとなります。その方法がこれからの学力です。これには、分析するための「メス」としての理論が数多くあります。・・それは数々の「FW」(仕組み・ルール)で多大なものですが・・これを学ぶのが10歳以後の学習の中心となります。法則とか構造・構成などの仕組みとかを理解するのが学習の中心となります。それまでは「記憶>理解」であったのが「記憶<理解」になります。先のAさんのターニングポイントがこの時だったのです。ですから、この頃の歳になると学習方法も変化させなければなりません。

「FWに統合」は、探究することでその事項の仕組みやルールを知ることになりますが、その仕組みやルールを「知のFW」として統合したものとして理解します。やがてこの「FW」が「活用」段階で利用されますし、先の「探究」段階でもこの「FW」が分析のメスとなります。できるだけ上質な「FW」をできるだけ多く理解して保持しましよう。

「FW」には、自然科学では科学的な法則が中心です。文科的には歴史や経済的なルール的なものや言葉でそれらを凝縮した熟語(四字熟語)もルールらしき役割を果たします。これらのルールには、理論として「長短分析」(メリット・デメリット)、「SWOT分析とクロス分析」(内外の長短分析とその組み合わせ)、マトリックス分析などが有効です。これらがあることで分析が素早くまた正確に行われます。

また、「FW」にも質の差があります。できるだけ「現象」の奥にある「本質」(原理・ルール)にまで掘り下げたものが上質となります。例えば、地理の学習で「フェーン現象」の「FW」を理解したとしても、風は、高地を越えると登り口の高さと同じ位置までおりると降り口では気温が上昇するということでの理解でも一応は役立つのですが、さらにその理由まで掘り下げて、そこに水蒸気が関係して気化熱や液化熱の法則まで掘り下げることが求められます。・・水蒸気があると登るときの気温降下が液化での熱の発生で緩やかになり、下りは水蒸気が少ないので平常通りの気温上昇となるからフェーン現象となる・・ことの理解までくると根本の理解となり応用力がもっと進みさらに多くの現象を解明するものとなります。

「活用」は、その人が対応する事項の解明を行うについて「FW」を利用して分析・検討することです。この時には、その人やグループが、質の高い「FW」を多く所有していることが求められます。質の高い「FW」は、実は「深い掘り下げ」が行われていることです。この掘り下げが浅いとその「FW」は単なる知識のまねごとになっています。

例では、組織論の「FW」で、人の結合に「納得・説得・強制」があり、人が自分の力を一番発揮するのは「納得」であるが、素早い対応を要する時には仕方なく「強制」が必要となる・・との理論があります。それをさらに掘り下げて、人は「強制」の時には自分の力をあまり発揮しないのであるから、「強制」を基本とする組織は永続しない・・との「FW」までになるとその「活用力」は大きくなる。この段階のFWとなると歴史的な事例の分析・検討が可能となり、「秦」と「唐」との違い、「信長」と「家康」違いが解明できます。・・前者が「強制」的で後者が「説得」的(納得ほどではないが)とういうこと・・そのため「唐」「家康」政権は文治政治となり文化・学問をかなり利用します・・狡猾といえば狡猾ですね)

・・ちょっとこれは大人向きですか?・・でも高校生なら理解可能かも・・

(2):「理解の基本のFW」・・事項の仕組みの3層

・・「分析は、分けることから始まる。ものごとは、この3つから分析できるというのがこのFWだ。私も、これを理解してから、分析力が早くなり説明力も向上した」・・

「ねらい」

*社会の出来事は「科学合理」「経済効率」「文化・心理的効果」の3層からなる

・・この3つが調和すると最善・・

*科学合理が基本の基本である・・しかし、これだけでは理論的すぎて、コスト高になるとか扱いに不便とかの問題も残るが・・そこで・・

*現実には、経済効率が労働軽減や手間暇の省力化に役立つ・・ただし、をコスト面での効率(コスとパフォーマンス)が重視されすぎると科学合理が抑えられることも多い・・

*実際の行動は人が行うので、「文化・心理的効果」も大きな影響力を持つ・・ただし、科学合理や経済効率を隠すこともある・・いわゆる「見てくれ」でごまかされることも多い

「ものごとの3層構造」・・お皿から考える

☆ブログ用「思考力1 シート」

「説明」

1:科学合理性・・物事の成り立ち、私達の脳の仕組みはこの科学合理に基づいているから、思考の基本もこれが第一。

2:経済効率・・労働や活動の投入量や資金の出費に見合う効率が求められる。これで、手間の工夫やスムーズな動きへの改善が行われる。

3:文化・心理的効果・・人間の感性面での受け容れがものごとを決めることが多い。

以上の3点から、この例「お皿と食べ物」について考えてみよう。

*焼き魚は、熱い方がおいしい・・皿は保温性があるもの~「科学合理」・・そこで、保温性のある陶器皿(粘土に空気が含まれているから)となる・・

~磁器やガラス皿は密度が濃くて熱を伝えやすいので保温効果がない~

*しかし、陶器皿は分厚くて重くて、かさばる・・そこで、日常では磁器皿が多用される~「経済効率」・・(余程高級な店でないと、陶器皿で焼き物が出ることはない)

*また、ビールを冷たく飲むためには、科学的には保温性のある陶器ジョッキがよいのだが、これでは冷たさと色合いが伝わらないので、ガラス製のジョッキが好まれることとなる~「文化・心理的効果」・・このグラスジョッキは、科学的にも経済効率でも問題である・・暖まりやすく場所を取り壊れやすいなど・・でも、これが文化となった。

☆「補足説明」・・「科学合理」が一番の基本だ・・だから中学生では「理科学習」が大切になる。「経済効率」が分かるのはその後の高校生か。さらに「文化・心理効果」が理解できるのはもっと後か・・文化的なことは合理的な意味がないこともあるので歴史的なことや感性の理解が必要なので・・。

(全く科学的に問題がなく、すぐに使えるので効率がよくても、「ネコが舐めた皿」だと分かると価値が下がるのが文化・心理効果だ。逆に、普通のものでも「文化的に価値づける」(?)ことができれば、科学的合理や経済効率も通過(ネグレクト)できる。・・(「超有名人の誰かが舐めた、使った皿」だと価値が上がる)・・ということで、有名人やカリスマ、美人・イケメンなどを多用するCMのやり方があると、その製品・施設などに科学合理の弱点があると考えられます。・・逆に考えれば、自分の製品、施設の自信がある場合にはCMはあまりしないようだ・・大学では、Ws・K0、DsなどのCMはあまりみないか、また、CMにしても、製品では科学合理のCM、学校・大学では教育の本質(育成の仕事)のCMになるのだろうと思う。

「応用問題」 

1:あなたの今日の服装は、どれを優先しているか?

①科学合理・・防寒優先ならこれだ、当然 防災服も(着ることはマレか)・・寒さ暑さのときには科学が優先される・・

②経済効率・・普段着は安くて汚れても気にならないことが大事だ・・日常はこれが基本だね・・

③文化・心理効果・・人が集まる場では見た目も気になるね・・イベント・行事のときにはこれだ。・・普段でもこれを優先する人は、ちょっと「自己中」?かも

2:次の「CM」なら、その製品・場には何が書けていると思うか?

①有名人がパフォーマンスをするだけの商品CM・・商品の科学合理性に自信がないか、より高く売ろうとするか・・

②可愛い女子大生の横顔をアップした入学案内ポスター・・大学の教育自体が科学合理だが、これに大学自身も自信がなく、世間の信頼がないときに可愛いだけのものになるのかな・・

③目新しい綺麗な施設と規模を誇る学校案内・・上と同じ、さらに質よりも規模(量・・大衆性)で勝負したい思い

④安全性や走行性能を説明する自動車CM・・科学合理への自信がある、買い手の質を高めたいとき

⑤製品の上品さを出したいのか白人男女のモデルを多用する衣料CM・・製品に科学合理がないとき、または経営陣に人種的偏見があるとき(文化・心理面での問題だ・・日本人への自信がないのか・・)

⑥学校教育理念を易しく表現した言葉と現役女子大生を使ったCM・・「誰かの役に立つ私に!」というフレーズをみたことがある、そういう学生の育成方針が良く伝わる・・

⑦大学生活の一コマを紹介するCMでも学習・活動を優先したもの・・やはり、学生の育成「科学合理」を中心としている学校だと思える

⑧ 同様なものだが、昼休みの学生の雑談や食堂のメユー紹介などを優先したもの・・本業の教育への自信の無さを大衆心理でごまかそうとするのかと思える

⑨「安さ」が一番・・というCM・・「安い・うまい・速い」(経済効率と心理的効果)中心なので、科学合理である健康・栄養面での心配もある・・(そこを乗り越えて科学合理に近づけようとしている企業もあり、その努力は賞賛される)

*CMは、基本的に「文化・心理的効果」を狙ったものであるだけに、科学合理を基軸にしたものは少ない。・・科学合理は理屈っぽくなるのでCMにしにくい・・上に挙げたCMも多くがそうであるが、誤った文化・心理的な傾向に訴えて合理性を隠すようなものは不適性であろう。

(3)「気候のFW」の活用・・科学合理のFW例(気候に関心のある人に)

・・「記憶力の教科・科目とされている社会科でも、科学合理・経済効率・文化効果の法則を使うことで単純記憶から抜け出て、思考を進めて答えを想定できることを学びたい」・・ここでは気候なので科学合理が中心だが、その他の社会現象・出来事でも、経済効率と文化・心理効果の法則を追加して使用すれば、推理と想定は可能なのだ・・(この法則が分かるとすばらしく学習能力はUPするよ)・・

「ねらい」

*社会科学習(地理もふくめて)は記憶事項も多いけど、その奥には科学合理で解明できることがある。中学生頃からは、理解を重視しよう。

*そこで、次の気候の要素(海や風・・そこから来る温度と湿度)の法則をつかんで地球上のあらゆる気候を推理しよう。

・・その5法則(ルール)・・「地球自転・太陽熱」(原動力)・「地球の形状・陸海の比熱差・地形(山など)・地球の傾き」(影響するもの)を理解すれば、記憶しなくてもその地の気候の状態を想定できる。

「試し問題」

*次の場所はどのような気候の特徴となるか?

 「概略世界地図」スライド7

「ヒント」

1:海流を描こう・・地球の自転の反対の流れだ・・「自転が原動力」

2:風流を描こう・・

①風の上昇は太陽の熱から起きる・・「太陽熱が原動力」

*赤道付近が一番熱い・・そこから上がった空気はN30度付近で下降し、そこでは乾燥した空気が溜まり、気圧も高くなる。N30度からは南北に空気は流れる。

②そこで・・N30度の高気圧から赤道に向かって吹く・・これは自転の反対向きの流れ、*N30度からはN60度に向かって吹く風は西から東に向かって吹く *北極からN60度に向かって東から吹く。

「これらは、地球の自転と地球が球状という形から起きている」

③地球は太陽に対して傾いている(約23度)・・そのため夏と冬とでは太陽に対しての傾きが逆になる・・太陽に対して北半球が傾くときが北にとっての夏、南はその逆・・これが季節変化の原因だ。・・そうすると、太陽が正面から照らす場所の変化も起きる・・北の夏には太陽が照らす位置が北にずれる・・最大はN23度(北回帰線)まで・・そこで、空気の上昇位置がずれて高気圧の位置もずれる・・N30度よりも北に来る(10度ぐらい北上・・23度までは北上しない)

④海と陸とでは太陽の熱に対しての反応が違う・・すぐに熱くなるのが陸(個体)で、海は遅れて熱くなる(液体)・・でも冷めにくい。これが季節による気圧の差を引き起こす。

⑤風は陸地では高い山脈がありその影響を受ける・・偏西風も陸地では弱まる・・海なら障害物がないので弱まらない。

「参考シートで学習しょう」・・数枚あるよ・・

 スライド3

スライド2

 

「解答・シート」

スライド8

A=暖流と偏西風の所・・風は西風・・でも夏は熱くなった大陸へ海から風が吹くので海(暖流)からの湿気で多雨となる。この季節風は偏西風よりも強い・・偏西風は大陸の高地・高山で防がれて弱まっているからでもある。夏の海が熱いと熱帯低気圧が発生し台風となる。冬は大陸から海に風が吹くがその風は冷たい・・「西高東低」。

B=寒流と偏西風・・風はいつも西風の偏西風・・西が海なので季節風よりも強い。寒流なので水蒸気は少なく小雨。台風などは発生しない。

C=寒流と東風・・小雨の地域・・海に近くても沙漠にもなる

D=暖流と偏西風・・季節風の影響も大きい・・Aに近い気候

E=夏にはN30度の高気圧が北上しこの地に来るので乾燥する・・地中海は夏乾燥するのはこのせいだ・・これは地球の傾きが関係するのでかなりな理解力が必要だ・・地中海の気候が分かると他の気候の理解もできていると思われる・・

さらに応用すると、気候と生活・文化まで含んだ大きな「気候・風土・社会・文化のFW」になる

 

「気候・生活・文化の総合FW」スライド1スライド4

 ☆ブログ用「気候 シート4」

「説明」・・「気候と風土・社会・文化の総合FW」・・これは相当なレベルの理解を結合したものなので、大きな「把握力」の段階の力といえます。・・(理解力が個々の事項のものに付いてのものであるのに対して把握力は全体的な理解と判断の能力です)・・

このFWは、地理的な気候とその気候に合った産業、またその気候から生み出される風土とそれに影響される文化状況などを関係させた「総合把握のFW」です。例えば、地理的には、わが国の気候は暖流と偏西風の地域であるが、季節風もあり、夏には太平洋からの湿った風で多雨となります。これが、稲作を可能にしますから、米(カロリー高く・連作可能)のお陰で多くの人が定住できます。そして、多人数で定住すると、独立心よりも協力心の方が社会を安定させますので、「和」の文化が育ちます。さらに、定住し農業し、栽培作業すると、繊細な仕事では男性よりも女性の方がこれに適しています。女性優位の文化が永らく続きます。万葉集などでも女性の文化が記されており、それは平安期にまで続きます。・・(一方、移動型で相互の競争の激しい地域では、男性優位の文化が早くに成立して、文化でも女性のものはみられません。・・中国大陸やヨーロッパでは古代の文化成立期にはすでに男性優位の文化となっていたのでしょうか、女性の文化の跡「詩歌・書籍・絵画など」がみられません・・ほとんど男性のものです。)・・ また、宗教でも、定住型では地縁性の神々が多く、移動型では天空性の神が出てきます。天の神はどこにいても見られるからでしょうか。この天の神は、人間を越えた超越神となり絶対的な性格を持ちます。一方、地縁性の神は、それだけに多くいて身近といえば身近で、雑多な神々となります。

・・この「総合FW」が把握できると、社会学や歴史学の理解がズーと進みます。

・・・ここで「学習論」は一応終わります・・また後ほど・・「組織論」の後で・・